AIコーディングが普及し、個人でアプリを作って公開することのハードルが劇的に下がりました。いわゆる「vibe coding」と呼ばれる開発スタイルです。
AIに相談しながらコードを書き、動くものができたらそのまま公開する。そんな流れが当たり前になりつつあります。
わたし自身もその一人として、小さなMacアプリをいくつか作ってきました。そしていざApp Storeで公開しようとしたとき、ひとつの問題に気づきました。
App Storeには開発者名が表示される。そしてそれは本名。
Developer
Hogezou Hogeyama
個人情報の問題、ブランドの問題、本業との関係。気になる理由はさまざまですが「本名を出したくない」と感じる個人開発者は意外と多いはずです。
この記事では法人を持っていなくても屋号でApp Storeに開発者名を表示する方法を解説します。
「App Store 本名」「Apple Developer Organization」「D-U-N-S番号」などで調べている方の参考になれば幸いです。
IndividualとOrganizationの違い
Apple Developer Programには2つの登録方法があります。
Individual → 本名が表示される
Organization → 会社名・屋号が表示される
ブランド名や屋号をDeveloper名として表示したい場合は、Organizationで登録する必要があります。
「でも自分は法人じゃないし…」と感じるかもしれません。しかし個人事業主でもOrganization登録できるケースがあります。その場合、屋号や事業名でD-U-N-S番号を取得していることが前提になります。
D-U-N-S番号とは
D-U-N-S番号とは、企業・事業者を識別するための9桁のIDです。
D-U-N-S
123456789
アメリカの企業情報会社Dun & Bradstreet(D&B)が管理しており、世界中の企業・事業者に割り当てられています。日本では東京商工リサーチ(TSR)がその管理を担っています。
AppleはOrganization登録の審査において、このD-U-N-S番号を使って組織の実在確認を行います。逆に言えばD-U-N-S番号を取得すれば、法人だけでなく個人事業主でもOrganizationとして登録できる可能性があります。
まず確認:すでに番号が存在しているかもしれない
申請の前に一度検索してみることをおすすめします。
法人の場合、過去の企業調査などを通じてすでにD-U-N-S番号が付与されていることがあります。わたし自身も今回これに該当しました。
「申請しなければ」と思ってAppleの検索ページで会社名を入力してみたところ、自分の会社がすでに登録されていたのです。少し拍子抜けしましたが、おかげでOrganization登録の条件はその時点でクリアしていました。
個人事業主の場合は新規申請になることがほとんどですが、念のため確認してみる価値はあります。以下のApple公式ページから屋号や会社名で検索できます。
https://developer.apple.com/enroll/duns-lookup/
D-U-N-S番号を取得する2つの方法
番号がまだない場合、取得方法は主に2つあります。
① Apple経由で申請する
Apple Developer登録画面から直接D-U-N-S番号を申請できます。
・申請は無料
・発行まで数日〜数週間程度が目安
申請を受けるとAppleは日本国内の窓口である東京商工リサーチ(TSR)に照会を行います。
TSRは屋号・所在地・代表者名などの情報をもとに事業の実在確認を行い、確認が取れるとD-U-N-S番号が発行されます。その後Appleから通知が届く流れになります。
② 東京商工リサーチ(TSR)に直接申請する
TSRの公式サイト(duns.tsr-net.co.jp)から直接申請することも可能です。
TSR経由での新規登録には次の2つの方法があります。
・標準処理(無料)
約1.5ヶ月程度でD-U-N-S番号が発行されます。
・短縮処理(有料)
約7営業日で発行。費用は約15,000円/件です。
アプリ開発と並行して申請しておくと、公開直前に待つ必要がなくスムーズに進めることができます。
全体の流れまとめ
屋号でApp Storeに開発者名を表示するまでの流れは以下のとおりです。
① D-U-N-S番号を取得する(Apple経由 or TSR経由)
↓
② Apple DeveloperにOrganizationとして登録する
↓
③ App Storeに屋号でアプリを公開する
法人格がなくても、この流れで本名を出さずにアプリを公開することができます。
なお、すでにIndividualアカウントで登録済みの場合、OrganizationアカウントへはAppleサポート経由で移行の相談が可能です。既存のアプリやデータへの影響も含めて、サポートに確認しながら進めることをおすすめします。
匿名だからこそ気をつけたいこと
AIコーディングの普及はアプリ開発の「入口」を大きく広げました。しかし同時に、App Storeに経験の浅い個人が大量に流入する時代になりつつあります。
そんななか本名が出ないからといって、無責任なアプリを公開してもよい理由にはなりません。
しっかりテストされ、安心して使えるアプリ。本名ではなくブランド名だとしても、その裏には責任ある開発者がいる。そんなアプリをリリースしていきたいものです。